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◆ナオミの充填物語 ビフォー・アフター◆ VOL.0146 2019年6月号
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「 私の営業マンの時代 」
先日、ユーザー様を訪問して、使っていただいている充填機の感想を聞く取材をしました。
場所は、神奈川県で、ひとつは平塚市の住宅街にある50年も続くケーキ屋さん。充填物はシュークリームのクリームです。
何十年も使っていた充填機の買い替えで、パズル充填機(RD703)をお使いいただいていました。以前のものは洗浄が大変で場所を取り、音がうるさいものだったそうです。ナオミの充填機は、コンパクトで洗浄が簡単なのがとてもいいと言っていただきました。
もうひとつは横浜中華街にある四川料理のお店。山椒が効いたうま味のある麻婆豆腐の素。手作業で行っていたところ、テレビで取り上げられ、爆発的に売れて生産が間に合わなくなったそうです。
こちらも、パズル充填機(RD703)をご利用いただき、生産量が数倍になり、「本当に助かりました」と作業者の方々が声を揃えて言ってくださいました。
みなさん、「助かっています」と非常に喜んでくださっていました。印象的だったのは、伺ったときのユーザー様の歓迎ぶりと笑顔です。
担当の営業マンが、ナオミとして一番大事にしている、お客様に寄り添うことを実践してくれているからだと思いました。まるで親戚のお兄ちゃんのように可愛がってもらっている様子を見て、私は嬉しくてありがたいなあと思いました。久しぶりにユーザー様のところに伺い、私が営業をしていたころを懐かしく思い出していました。
私は、かつて8年ほど営業をしていました。
最初は、業務の仕事をしていたのですが、先代の父が社長をしていた時、(私は平社員)「営業に行ってこい」といきなり言われて、否応なく充填機を持って商談に行ったのがきっかけで営業をするようになりました。
初めての営業で初受注をいただいたのは、神戸の大手洋菓子メーカー様でした。研究室に伺い、シロップの充填のデモを行いました。
今でもそのときの光景は忘れません。その当時、機械メーカーの女性営業マンは、とても少ない時代でした。ですので、私が伺った時、お客様の顔は不安な顔をされていました。そのお顔を見て、私の緊張感はマックスになりました。
そんな中のデモだったので、心臓が口から飛び出しそうでした。でも緊張している姿を見せてはいけないと思い、心を落ち着かせ、どうか精度よく充填できますようにと、祈るような気持ちでスイッチを押しました。願いがかなったのかデモは非常にうまくいき、すぐにハンディ充填機(DT)を買っていただき、とても嬉しかったことを覚えています。それが私の営業デビューでした。
その後、本格的に営業を始めたのは15年前に関東支社を立ち上げた時です。今は埼玉の大宮に関東支社はありますが、12年ほど前までは、東京の練馬区にありました。これも父に「関東にショールームを出すから、お前が関東支社を立ち上げろ」といきなり言われて、当時45歳くらいの私は、家族を置いて単身赴任で行き、立ち上げたのです。
全く何もわからない状態で、ひとりで関東支社(ショールーム)を設立しましたが、今になって思えば、よくやったなあと思います。当時の関東支社は30平米ほどのワンルームで、そこに何台かの充填機を置いていました。その当時、住む部屋を借りるほどの余裕が会社になかったので、充填機のそばに布団を敷いてそこで寝泊まりして暮らしていました。(笑)
営業のスタイルは、ネットでの反響営業でした。しかしながらHPからの問い合わせは、ほぼ無く、私は自分でお客様を見つけるしかありませんでした。ですので、ネットで充填機を使っていただけそうな会社を片っ端から調べて電話をし、アポを取って訪問することをしていました。でも、全く成果が出ませんでした。
一応話は聞いてくれましたが、必要はないと断られ、しょんぼりしながら帰ったことを思い出します。売上を上げるにはどうしたらいいんだろうと、本当に悩んでいました。
そんなとき、ある経営者からFAXDMの話を聞き、「この方法だったら集客できるかもしれない」と思い、実行することにしました。最初はナオミの充填機がいかに便利で優秀な製品であるかをPRするようなFAXDMばかりを配信していました。しかし、いっこうに返信が来ませんでした。
どんなFAXDMを配信すればお客様の心をつかめるのかが、なかなか分からなくて、何度も何度も試行錯誤を繰り返しました。でも返信は相変わらずきませんでした。
ようやく、ひっきりなしに返信が来たのは、お手紙のように素直な気持ちを伝える文章のFAXDMを配信したときでした。一日中、返信のFAXが続き、お客様が求めていることにヒットしたときにこんな反応があるものかと驚いたことを覚えています。
そこに行きつくまでには、相当な時間がかかりました。でも、その試行錯誤の中で私はニーズに合ったことを提供すると反応があることを知りました。自己満足ではなく、あくまでもお客様に寄り添う。そのことが私に大きな学びを与えて、今のナオミの営業スタイルを確立させたと思います。
売りつけるのではなく、ともかくお客様に寄り添う。すなわち徹底的に話を聴くと言うことでした。私がやっていたことは次のようなことです。
お客様は困っているので、話を聴いてほしいと思っています。まずは、関心を持って丁寧に聴くに徹します。そして話を引き出し整理していく。
そうすると何に困っていたかにお客様は気付き、すっきりする。そして一番ベストな充填機を提案する。
ともかくお客様は自分の話を聴いてほしいんですよね。それを満たしてくれて、しっかり寄り添って、しかも迷わせないベストな提案をしてくれる営業マンに信頼を寄せてくれます。
自分が逆の立場だとよく分かります。聴くことによって、どれだけ人から信頼を得られるのかを、営業という立場になって、改めて痛感しました。
人の話を聴くということで言うと私は昔からよく聞き上手だといろんな人に言われていました。私にとってはそれが当たり前なので、「そうかなあ~」くらいの感じでした。でも営業をするようになって、私の特性が生かされているなあと感じるようになりました。
それを意識するようになったのは、専務が私に言ってくれたことがきっかけでした。
「社長と話しているとあっと言う間に時間が経って、話そうと思っていなかったこともいつの間にか話してしまっている。社長は聞き上手ですね。」と。
営業のやり方を誰かに教えてもらったことは有りませんでしたが、自分の在り方が営業に向いていたんだと思います。向いていたので、営業がとても楽しくて、次はどんなお客様に会えるのだろうとワクワクして伺っていました。
私はいろんなことにいつも興味津々で、次から次へと質問をするので、お客様もそんな聴いてくれるなら話しましょうかと言うような感じになり、どんどん話をしてくださいました。
最後には、こちらのペースにすっかり巻き込まれてしまって、最初仏頂面だった方も笑顔になっていただけました。そしていつの間にか、注文という流れに。(笑)だから今でも私は、営業が天職だなあと思います。楽しく思い出深い私の営業時代は、代表取締役に就任した後に終わりました。
だから、たまにお客様のところに行くと、当時のことが思い出されて嬉しくなります。
営業マンから「社長、今度一緒に営業行きましょう」と言われると、思わず笑みがこぼれてしまいます。そして「うん!行くよ」と二つ返事です。(笑)