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◆ナオミの充填物語 ビフォー・アフター◆ VOL.0145 2019年5月号  
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「 聴くは問題を解決する 」


人と会話していて、本当に気持ちいいなあと思える時がありますよね。その時って、相手との会話の間合がよくて、お互いがちゃんと聴いてもらえているなあと満足感があるときじゃないでしょうか。そして理解してもらえたという喜びがある時ではないかなと思います。

会話が終わった時、なんとかも言えない心地よい余韻が残ります。また、パワーが沸いてくるようなそんな感覚すらあります。逆に、分かってもらえてないなあと、とても嫌な気分が残ったままの会話もあります。そのときの相手の聞き方は、たいていこんな感じではないでしょうか?

・自分の話ばかりで、聞いてくれない
・途中で口を挟まれる
・「要するにこういうこと?」とまとめられる
・分かるんですけどね。などと否定される
・コントロールされる
・上から言われる
・ほかのことをしながら聞いている
・自分の言いたいことが相手に理解されていないと感じる
・会話のキャッチボールができない、ひとことで終わる

書き出したらまだまだ出てくるのですが、それくらい気持ちのいい会話ができていないことが多いのではないでしょうか。特に会社でのストレスは、この部分が大半を占めるのではないかと思います。

今、ナオミで取り組んでいるリーダープログラムの中で、「聴く」ということを扱うワークがあります。いったい自分はどんな聞き方をしているのかを観察することをやってもらっています。そこで大抵のメンバーは、いかに自分は人の話を聞いていなかったのかに気付いてびっくりすると言うのです。聞いているつもりになっていたのですね。むしろ意識すらしていなかった人もいるほどでした。

普段から聞いていないのに、問題が起きた時には、さらに「聞いていない」が露呈してしまいます。問題が起きた時、人は自分を正当化するために相手の話を聞くことよりも自分の言いたい事を優先し始めます。それはナオミでもあります。そして、自分はいかに間違っていないかをお互いが延々と話し、そのうち感情論になって長時間を費やし、完了していないというのがだいたいのオチです。そして嫌な気持ちだけが残り、後の仕事に影響を与える。もちろんパワーも奪われます。そしてそれはいつも同じことのくり返しです。

声の大きいもの、権力のあるものが力で制し、他の人は、いずれはあきらめるか、黙る。それでは、いつも完了せずに問題を残したままです。私はこの状態をなんとか変えたいとずっと思っていました。だけどどうしたらいいのかわからなかったのです。

それが、リーダープログラムを始めたところ、参加しているみんなが「聴く」について取り組み始めたときに、問題解決するにはこの「聴く」が効果的であることが分かってきました。

ここで言う「聴く」は、次のようなことです。
・相手の話を否定しない。なんでそう思うのかを尋ねる。
・相手の世界に一緒にいる
・寄り添う

リーダープログラムのワークは、自分の「聴く」を観察したことで、感じたことを毎日書いてグループの人たちと共有します。そして、あらかじめチームのアドレスを作っておいて、メールをそのアドレスに送るのです。(リーダープログラムは5チームあって、各々の人数が2~4名)このシェアがそれぞれのメンバーの気づきを促し、学びにつながります。そして、私がみんなにフィードバックをし、それもチームメンバー全員に送り、共有します。

そうしたところ、1か月も経たないうちに変化が起き始めました。下記はみんなの在り方の変化の例です。

Bさん
今までは、自分で勝手にストーリーを作って相手はこう思っているのではないかと妄想していた。きちんと話をし、聴くことによって自分が誤解していたことが分かった。違和感を感じるときは、その時々に会話をし、完了させることで良い関係性を作ることができた。

Cさん
今まで自分を理解してくれないと思ったらシャッターをすぐにおろしていた。そしてそこからは歩み寄ることはしなかった。でも自分が壁を作っていることに気が付いた。その壁を作ることを止めて理解しようと会話をするようにしたら、とても気持ちいい。不完了を残さないことですっきりする。

Fさん
今まで自分から積極的に話したり、関わったりしてこなかった。相手にとっては何を考えているのかわかりにくかったと思う。アウトプットを必要以上に丁寧にする。そのことで相手に安心してもらうことを心掛けるようになった。

こんな風に聴き方が変わり始めたことで、このリーダープログラムを受けている人同士が行う会議が変化してきたと聞きました。その会議はこんな風だったそうです。「ともかく人の話をみんながちゃんと否定することなく最後まで聞き、どうやったらうまくいくかを考えていました。とても気持ちのいい会議で、しかもいつも3時間かかる会議が1時間で終わりました。」

私はその話を聞いて本当にすごいなあと思いました。自分たちで、ちゃんと解決する会話。誰かがあきらめたり、がまんしたりするのではなく、お互い納得して譲り合えるところまで話をする。この在り方に、私はナオミの可能性を感じました。

問題が起きたとき、起きたことだけにフォーカスし感情は挟まない。なぜ問題が起きたのか理由、原因をただ聞く。質問があれば質問し、聞く。そこには誰が悪いとか悪くないはない。そもそもどうしておけばよかったのかをみんなで考える。今後どうすればよい方向に持っていけるのかをみんなで考える。そして起こったことを一部の人間だけが知っているのではなく、みんなが共有する。

この話し合いの在り方で、みんなが聴くに徹していけば、話す側の人も、変にまわりくどいことや、自分を正当化する話にならない。無駄な時間も使うこともない。聞きたいことを聞けるし、すべてが完了していく。

こんな質の高い会話が会社の中でどんどん広がっていきそれが当たり前になったら、ああでもない、こうでもないと陰で言うこともなくなると思います。そしてもっと前向きな意見や、提案が出て愉しくなるだろうなあと思います。

「聴く」がこれほど効果的であることを改めて知った私は、ナオミが自分たちで問題をその時々に完了しないままの状態を残さずに解決する集団になるように、この文化を必ず定着させていきたいと思います。

■余談なんですが・・・。
つい最近、4歳の子どもたちが自分たちで問題を解決する番組がありました。私はそれを見ていて驚きました。自分たちの園の名前を決める時間があったのです。先生が「みんなで考えて園の名前を決めてほしいけど、なんて名前がいいかなあ?」と言うと、5つほど候補があがりました。(子どもたちは10名で男女比は4対6)

男の子はダイヤル。女の子はハート。

ちょっと言い合いになっていたんですが、1人の子どもが、「ハートダイヤルがいいんじゃない?」と言ったら、9人の子どもたちが「賛成っ!!」となりました。その中で、1人だけ反対した子どもがいました。先生は、その子に「何がいいの?」と聞いたら、「ロボット」が良いと言いました。

その瞬間、他の9人が「じゃあハートダイヤルロボット園にしよう!」と言い、全員の意見が尊重される形で決まったのでした。言い張るのではなく、どうしたら解決するかを考えている4歳の子どもたち。小さな子どもでも、自分たちで話し合って決めていく能力があるのかと驚きました。大人も見習わなければならないですね。

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