駒井亨衣のメールマガジン
Vol.139 2018年11月号
「 展示会のこと 」
ナオミは来年、東京・福岡・名古屋・北海道の食品機械の大型展示会への出展をやめることにしました。その理由は2つあります。ひとつは、「働くみんなが幸せになる」というナオミのビジョンを全うするため。もうひとつは、これからの展示会の在り方を考えた結果です。
展示会を準備して終わるまでには、莫大な時間と労力がかかります。今年は去年以上に素晴らしいものを作るために、展示会チームのメンバーが頑張ってくれました。しかしながら、その頑張りは、メンバーを疲弊させてしまいました。メンバーがしんどい思いをしていることを、知らないメンバーも結構いました。
一生懸命にやったのに、やって当たり前の扱いではやりきれないという気持ちになったと聞き、当然だと思いました。私自身も、そんなに大変な思いをして頑張ってくれていたことを知らずにいました。情けないことに、その声が上がってようやく事実を知ったのです。
メンバーの話を聞いて、このままではダメだと思いました。みんなに事実を伝え、展示会を本当にやるべきなのかどうかを、一旦立ち止まって考えようと投げかけました。それで、展示会をやめることについて全員にアンケートを取り、やめることにおけるメリット、デメリットを考えてもらったのです。
展示会をやめることをためらう人も多くいました。売上が下がることになるのではとか・・・。ナオミの経営がうまく行ってないと思われるのでは、などが多くの理由でした。(実際は、10年以上増収増益を続けていますが・・笑)
でも、一番の問題は何よりも仲間が疲弊していることに気付かないメンバーが多くいる現状です。こんな状態で、展示会をしたところで上手くいかないと思うのです。
一方、展示会への出展をやめることのメリットは、しっかり話し合える、考える時間が確保されること。その時間で、当事者意識を持つメンバーを増やすような質の高いコミュニケーションを繰り返し、チームの強いつながりを作っていくことが先決であると思いました。
自分ごとになっていけば、各々が展示会チームのメンバーを自発的に手伝おうとするでしょうし、前向きな提案もできるようになると思います。そうなったときに、本当に展示会をする必要性があるとみんなが思うのであれば、またやればいいと思います。そうしたら、今とは全然違うやり方で展示会の準備が始まり、みんなが満足いくものとなるでしょうし、お客様にも喜んでもらえると思います。
それからもうひとつ。展示会を毎年当たり前にやっているけど、本当に必要なんだろうかと思い始めたからです。ナオミでは、毎年出展しているから今年も出展するというように、恒例行事のようになっていました。10年ほど前から、展示会に出展し続けてきて、ここ3年ほどは充填機のアイテムが増えたこともあり、どんどんブースのコマ数を増やしてきました。
ブース作りも独自性に注力し、お客様にも高く評価していただきました。特に今年は、メンバーのものすごい頑張りで、東京の展示会は、集大成だなと思えるような展示ブースになりました。あまりの素晴らしい出来上がりに、自社のブースでありながら、驚きと感動で目頭が熱くなりました。本当によくここまで頑張ってくれたなあと感無量でした。
最高のものが出来上がったことの満足感、達成感とは裏腹に、今の展示会の在り方に、限界を感じ始めていました。受け身な展示会から、積極的に仕掛ける方法がこれからは必要になると思ったのです。
ナオミでは、2019年1月に拠点としては6箇所目の広島営業所兼ショールームを開設します。(広島営業所の詳細はこちら)地域に密着し、「近くにナオミがいる」ことで安心して機械を使っていただけるナオミでありたい、そんな会社になっていきたいと思っています。
単発で終わる展示会とは違い、つながりを作る場として、いつでも相談できて身近に感じられる、コミュニティのような場が営業所である。その在り方が、今後のナオミが目指す方向性にピッタリだなあと思いました。
展示会はやめることにしましたが、そのことで新しい方向性を見出すことになりましたし、社内の問題点にも気づくことができました。ひとつひとつのことに丁寧に向き合って、解決していくことの大切さをまたこのことを通して学びました。